2017年07月11日

平田オリザの「読書日記」――伊東光晴『ケインズ――”新しい経済学”の誕生』

 暑い!なんも考えられない!
というわけで、今朝7月11日の毎日新聞の「読書日記」。
今週から執筆陣に加わった平田オリザ氏の記事。

「17歳の時にこの本に出合ってから、幾たび私はこの小さな新書を手に取ったことだろう」と始まる。
この新書とは、岩波新書の『ケインズ――”新しい経済学”の誕生』のこと。
概要は次の3段落にまとめられている。

「ケインズは、それまで長く信じられてきた古典的な自由経済への妄信を打破した。政府はできるだけ経済活動に関与しないという夜警国家から、福祉国家への道を開いた。
 ケインズはまた、当時、植民地債を持ち、その利息によって生き延びる既得権益の階級を「非活動階級」と捉え、その投資を国内へと振り向ける努力をした。
 このケインズの理論を支えたのは、徹底した知性主義であった。人間の知性を信頼し、合理的な政策によって社会は改良できるとケインズは信じ、また行動する。」

 そして、この本ではあまり触れられていないというケインズの芸術との関わりを平田氏は強調している。

「ケインズは、「もはやこの国は世界に冠たる大英帝国ではない」と考えた。そのイギリスで、あの小さな島の中で、旧植民地から流入してくる多様な人々を含めて、国民が誇りを持って暮らしていくためには、芸術・文化の力を使うしかないとケインズは考えたのではなかった。」

 平田氏はこのケインズをうけて、このさまざまな人々が暮らす狭い日本で、「人々をつなぐのは経済ではなく文化だろう。あるいは多様性を理解するための芸術だろう」と述べる。

 規制緩和や関税撤廃で国家の「夜警国家」化が「善」とされる現在に向けての発言として興味深く拝読したのでした。
posted by CKP at 17:51| Comment(0) | 雑想・戯言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。