2012年05月14日

なぜ牛はわらじを履いたのか――タダオおじさんのドナ・ドナ

 昨日、ある檀家さんのご法事の後での食事のとき、タダオおじさんから昔の農作業のことを聞いた。

 私が小学生のころは、村の若い衆であったおじさんだ。
うちの庭にお隣の牛が逃げ込んできたり、お馬さんが道にぽっとんぽっとんと馬糞を落としたり、学校に行く道すがら生まれだばかりの子豚を見に行ったり・・・
それからもう50年余り。
私も58歳にもなっているのだから、タダオおじさんはもう80歳に近いお爺さんである。

 タダオおじさんは7歳でお父さんを亡くされ、その後お祖父さんから農作業を仕込まれた。
勉強したくても出来なかったから、自分の子どもたちには、どんな無理をしてでも勉強させてやりたかった――それくらい幼いときから働いたそうだ。

 春といってもまだ田んぼに氷が張っているころから、田起こしが始まる。
牛と一緒に冷たい田んぼに入る。
あまりに冷たくて、田んぼにつけた足を思わず引き上げるとお祖父さんからどやされたそうだ。
そうやって何日も牛と一緒に朝早くから田起こしをする。

 しかし、一日中、田んぼにつかった牛のひづめは柔らかくふにゃふにゃになる。
田んぼから上がって砂利道を歩こうとすると痛くて歩けない。
だから、田んぼから上がると牛にわらじを履かせたのだそうだ。
「わらじを履かせてくれろ」と牛は自分から4本の足を順番に上げる。
オー、よしよしとわらじをはかせたそうだ。
翌日、田んぼに入る前は「わらじを脱がせてくれろ」と足をあげるのだそうだ。
「よう働いてくれた」とタダオおじさんは懐かしそうに、愛しそうに語る。

 しかし、働き者の牛も何日も続く農作業で疲れきって、朝起き上がってこないことがある。
そんなときには、そのころは貴重な玉子酒を作って、寝る前に牛に漏斗で飲ませる。
すると、翌朝はしゃきっと牛は起き上がってくるのだそうだ。

 その後、そういえばあのころは残飯は豚を飼っている家を持っていった、その糞は肥やしにした、ゴミなんか出んかったなぁ・・・などというエコロジーな話になった。

 電気器具もガソリンを使う農機具もクルマもほとんどなかった。
ほんの50年ほど前の話である。

――という話をブログに書き付けるのもなんですけど・・・
posted by CKP at 18:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑想・戯言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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